おもひでぽろぽろ(その1)

おもひでぽろぽろ(その1)

今から20年以上前の話。

高校は男子校でしたが、姉がいるので女性に妄想なんて抱いてない!と思っていたんですよね。
だけど、実際は違った!
女性という生き物に妄想だらけだったのだ!
男子高校卒業後いきなり看護専門学校入学のギャップはデカかったのだ!!

しかも、午前は看護専門学校、午後から21時まで病院で補助業務(おむつ交換、お茶などや食事配膳、環境整備、雑用)。
どこ見回しても女の世界。女、女、女。
上司も先輩も同期も全員、女。
社会の、大人の、看護師の女性は全てにおいて想像以上だった!!

まぁ、これからの話は私が勤めていた病院やその地域性、それに時代も多分にありますし、私がガキンチョだったんですよ。
女性ボーカル1人、ほか男性の4人組バンドとか見て「おいおい、こんなの恋愛沙汰になったら大変じゃないのか?」とマジで考え込んでましたから。

そんな私の昔話。

目次

え!看護師さんタバコを吸うやん!

とにかくびっくりしました。
みんなスッパスパ吸うんだもん。

私の母親は吸いませんし、女性の親戚で喫煙者は誰もいませんでした。
女性でタバコを吸うのは、私の認識ではヤンキーだけでした。
だから余計に違和感があったんだと思います。
タバコは男が吸うもんだ!と固定観念もあったと思います。

私も中学や高校の時に何度か吸いましたが、どうしてもみんなで共有する「俺たち悪いよなw」という雰囲気に耐えられず、あっさり辞めました。
まずいし、何よりタバコにお金使うなら、学食で食べたかったし。

なので、私の周りでの喫煙者は親父や男友達ばかりなので、女性の喫煙にはとにかくびっくりしました。

しかし、まー、みんな美味そうに口から出した煙を鼻に吸い込む吸い込む。

そうなんです。
この時代はまだまだ院内に喫煙場があり、行き場のない私は先輩看護婦さんについてよく喫煙場に行っていました。
女性の職場なので当たり前なのですが、若かれし俺は思ったもんですよ。

ポーポー

「女がタバコ吸ってるやん!ヤンキーでもないのに!」

ポーポー

「あんなおとなしそうな人も!あの人も!ヤンキーやったんか・・・?」

ちなみに、私が実習に行った精神科病院は、詰所内で男女問わず看護師がスッパスパ吸っていて別の意味でびっくりしたなー。
ま、とにかく、美味そうにタバコを吸う女性に度肝抜かれました。

そして、新人看護師もそれに影響を受けて吸う人数の多さにも驚きました。

「ストレスから吸い出したのよ〜(笑顔)」

私はそれを聞いて思っていましたよ。

ポーポー

「憧れている先輩が喫煙者だから真似してんのか?それともタバコ吸えば一人前になった感じがするのか?」

何にせよ、たまった吸い殻に付いた赤い口紅が印象的な毎日でした。

すっぴんにビビる

お前誰だよ!
と、若かれし頃の私は実際に声に出したこともあるくらい、ビフォーアフターを拝見させていただける職場が看護界だったりします。

夜勤の時のすっぴん率の高さ!
潔い(いさぎよい)のも看護師さんの特徴かもしれませんね。

夜の街で働く女性は綺麗に変身するけれど、
夜の病院で働く女性はお肌をキレに保つ方を選んでいる人が多かった。
すなわち、すっぴんで夜勤する人が多かった。
その時代は、あまり普段からマスクを装着して仕事する感じでもなかったので、堂々とすっぴんで仕事されていました。

そんな中、絶対すっぴんを見せない(いついかなる時でもバッチリ化粧して出勤する)看護師さんには、プロ意識と同時に「すっぴんは一体・・・」と思っちゃうんだからしょーがない。
そんな、女性が女性であることの様々な理由を堂々と体現して出勤し仕事する世界に迷い込んだ私でした。

ありがたくいただく。

「ありがとー!いただきまーーーす!」

患者さんから堂々といただく。後ろめたさなんかゼロ。
当たり前でしたし、素直に大喜びしていました。

詰所に(○○さんのご家族からいただきました。1人1つ。)と書いた張り紙。
シュークリーム、パン、お菓子、コロッケ、ストッキング、靴下・・・。
日頃の感謝、という名目でたくさんの差し入れをいただきました。
コロッケは病院の近くにある商店街で有名なお店があったので、嬉しかったなー。

慢性期病棟で夜勤して迎えた朝では、付き添いや食事介助などで早朝から来院されたご家族が、私の夜勤を把握してくれていてヨーグルトや果物などの差し入れもしょっちゅうしていただきました。

「ありがとうね。お疲れ様、食べてや」

ポーポー

「やったー!ありがとうー」

だからといって、患者さんに優劣がつくこともなかった。
それが日常でしたから。

ただ、ある時期から「差し入れ禁止」となった。

それを知らないで差し入れを持ってきてくれた人と婦長さん(師長さん)が揉めることが多くなった。

「こんなもん、持って帰っても困るんや!食べてや!」

看護婦長

「すいません、決まりなんです」

みんな「貰っときゃいいのに」って横目で見ながら。
婦長さんがいない時に主任さんが内緒でもらってきて、

「共犯やで!」

とその日のスタッフみんなで急いでコロッケを食べた日はいい思い出です。

看護師よりも補助のおばちゃんの方が強い

プロフィールにも書いていますが、私は准看護学校に行きました。
なので、無資格で2年間病院で補助業務をしていました。

その時は補助のおばちゃん(いや、ほんとにその年齢の方しかいなかったんです)が私のボスでした。
その時の体験が強烈で看護師を今でも続けられている!とも言えます。
無知で、看護界に何の憧れもなく、ゼロで飛び込んだ世界。

そもそも「准看護学校に不合格なら就職させない」という条件でしたので、

ポーポー

「合格しました!」

と報告に病院に行ったときにも、そもそも何も訳分かってない訳なので、

「おめでとう!んじゃ、キミ4月から補助業務ね」

と言われた時は

ポーポー

「んあ?」

となり、

ポーポー

「それ何するんですか?」

と聞いた後に

「ん?おむつ交換とかやね」

と言われた後、

ポーポー

「・・・はい!!」

と元気に返事したけど、赤ちゃんのおむつ交換だと信じて疑わなかった。
まさか、お年寄りが入院していて、おむつしているなんて、俺が漏らしそうになったもんです。

そんな無知の極みだった私を手取り合いとり教えてくださった恩人が補助のおばちゃんたちでした。

その時代は「布おむつ」。
感染対策もまだまだ未開拓。
ヒヨッコな私におばちゃんは目も合わさず言いました。

「あんたはまだ下手くそやから手袋しとき。」

そう、ベテランのうまい補助さんは素手でオムツ交換していました。
今の時代じゃ考えられないのですが、そういう時代でした。

その補助さんが「・・・・これはあかんな」と言って手袋をする姿、痺れたなぁ(憧れの方ね)。
そこで知ったんですよ、これはなんてことのないウンコ、これは看護師に報告すべきウンコ。
俺にはただただ普通の臭いウンコ。勘弁してくれよーというウンコ。
なのに、無資格の補助さんおばちゃんには、なんかわかるんですね。

それを「・・・ありがとう、注意して診ときます」と返事する看護師さんもいれば、
それを「・・・・」と無視する看護師さんもいた。

そこで少し気がついたんですよ、良い看護師とダメな看護師を。

そしてそれを気に留めない補助のおばちゃん。

「あんた、早よ偉なりや。」

・・・・みんな、元気かなぁ。

まさか自分の昔話がこんなに時代を感じさせる内容になるとは思いませんでした。

歳を重ねる、経験を積む、社会を知る、ということはこういうことなのかもしれません。

高校1年の時、全く希望しない高校に入学した私。
これからの3年間に何の期待もない高校生活。
1年生の時の担任が野球部顧問をしているという熱血教師でした。

その先生が「私には大好きな言葉がある!覚えていて欲しい!」と言いながら、黒板に書いた言葉。
今さらになって、染み込んできます。
いい言葉だなぁ・・・。

「初心忘るべからず」

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